訪問看護の仕事をしていると、
「自分たちのステーションは、この地域でどのくらいの規模なのだろう?」
と気になることがあります。
訪問看護事業者の規模を考える場合、単純な会社全体の売上や従業員数だけではなく、特定の地域にどれだけ訪問看護ステーションを配置しているかを見ることも重要です。
そこで今回は、人口規模が大きく訪問看護事業者も多い横浜市・川崎市に注目し、訪問看護ステーションの拠点数や地域展開について比較してみました。
※拠点数は公開情報等をもとに整理したものであり、訪問看護ステーションとサテライトの扱いや集計時点によって変動する場合があります。
横浜・川崎は訪問看護の大きな市場
横浜市と川崎市は、神奈川県の中でも人口が集中しているエリアです。
高齢者だけでなく、医療的な支援を必要としながら自宅で生活する人、退院後に在宅療養へ移行する人なども多く、訪問看護に対する需要が期待される地域です。
そのため、横浜・川崎には全国展開する大手事業者から地域密着型の事業者まで、さまざまな訪問看護ステーションがあります。
ここで興味深いのが、「全国に何拠点あるか」ではなく、「横浜・川崎という一つの地域に何拠点あるか」という見方です。
特定地域に複数のステーションを配置する「ドミナント型」の展開を見ることで、その事業者が地域にどの程度のネットワークを構築しているのかが見えてきます。
横浜・川崎の訪問看護ステーションを拠点数で比較
横浜・川崎で複数の訪問看護ステーションを展開する事業者を調べると、大規模な地域展開を行っている事業者がいくつかあります。
代表的なのが、株式会社ATが展開する「アットリハ」です。
公開されている事業所情報をもとにすると、横浜市では高田、反町、小机、阪東橋、和田町、十日市場、小雀町など、川崎市でも新城、鷺沼、八丁畷、平間、鈴木町、新百合ヶ丘、宿河原、長沢、南加瀬など、多数の拠点を展開しています。
横浜・川崎を含む神奈川県内で、非常に強いドミナント展開を行っている訪問看護事業者の一つといえます。
一方、まるっとけあ訪問看護も横浜・川崎を中心に複数のステーション・サテライトを展開しています。
そのほかにも、横浜・川崎周辺では複数拠点を運営する訪問看護事業者があり、全国型、神奈川県内型、地域密着型など、それぞれ異なる事業戦略を取っています。
単純な拠点数だけで優劣を判断することはできませんが、地域に複数拠点を継続的に展開できること自体が、訪問看護事業における一つの経営力の指標になります。
まるっとけあ訪問看護は横浜・川崎に8拠点
現在、まるっとけあ訪問看護では、横浜市・川崎市を中心に以下のステーション・サテライトを展開しています。
- まるっとけあ新横浜
- まるっとけあ鶴見
- まるっとけあ中原
- まるっとけあ鷺沼
- まるっとけあ綱島
- まるっとけあ大口
- まるっとけあ川崎駅前
- まるっとけあ溝の口サテライト
つまり、横浜・川崎という一つの都市圏の中に8つの訪問看護拠点を持つネットワークを形成しています。
全国に点在しているのではなく、横浜・川崎に集中していることが特徴です。
横浜市では4つの訪問看護拠点を展開
横浜市では、主に以下の4拠点を展開しています。
鶴見・新横浜・綱島・大口です。
港北区、鶴見区、神奈川区など、横浜市北東部を中心に訪問看護のネットワークを形成しています。
これは、一つの大型ステーションだけで広い地域をカバーするのではなく、利用者や医療機関に近い場所へ拠点を配置していく地域密着型の展開と考えることができます。
訪問看護は利用者の自宅へスタッフが移動するサービスです。
そのため、拠点配置は移動時間や訪問効率、スタッフの働きやすさにも関係します。
地域の中に複数のステーションがあることは、単なる「店舗数」の意味だけではありません。
川崎市でも4つの訪問看護拠点
川崎市では、中原・鷺沼・川崎駅前・溝の口を中心に4拠点を展開しています。
中原区、宮前区、川崎区、高津区など、性格の異なるエリアに拠点を配置することで、川崎市内でも訪問看護のネットワークを広げています。
横浜市4拠点、川崎市4拠点。
この配置を見ると、まるっとけあ訪問看護が横浜と川崎の両都市を一体のエリアとして捉えながら事業を展開していることが分かります。
訪問看護の規模は「拠点数」だけでは分からない
ただし、訪問看護ステーションの規模を比較するときには、拠点数だけを見るのは十分ではありません。
重要なのは、
拠点数 × スタッフ数 × 1拠点あたりの生産性
という視点です。
例えば、10拠点あっても各拠点のスタッフが数名しかいない事業者と、8拠点で多数の看護師・リハビリ職などが働いている事業者では、実際のサービス提供能力は異なります。
まるっとけあでは、現在約80名規模のスタッフが働いています。
8拠点を基準に単純計算すると、1拠点あたり平均約10名です。
もちろん実際のスタッフ配置はステーションによって異なりますが、現在の規模感を考えるのであれば、
「8つの事業所を持つ会社」ではなく、「約80名のスタッフが働き、横浜・川崎に8拠点のネットワークを持つ訪問看護グループ」
と捉える方が実態に近いでしょう。
訪問看護で多拠点展開が難しい理由
訪問看護では、最初の1拠点を開設することと、2拠点目、3拠点目、5拠点目と継続的に増やすことでは、経営上の難しさが大きく変わります。
拠点が増えれば、看護師や理学療法士、作業療法士などの採用・教育・定着が必要になります。
さらに、管理者の育成、利用者の獲得、病院・クリニック・ケアマネジャーとの地域連携、請求業務、バックオフィス、人員配置なども複雑になります。
そして複数拠点になると、各ステーションを独立して運営するだけではなく、グループ全体として人材・情報・ノウハウを共有する仕組みも必要になります。
だからこそ、複数拠点を安定して運営できる段階になると、その事業者の中に一定の「運営の型」が形成されてきたと考えることができます。
アットリハとの違いから見える成長余地
横浜・川崎で比較すると、アットリハはまるっとけあより先行して多くの拠点を展開しており、地域ドミナントという点では非常に参考になる存在です。
一方、まるっとけあも8拠点まで増えたことで、次のステージが見え始めています。
8拠点から10拠点へ。
10拠点を超えて地域内でさらにネットワークが広がれば、利用者や医療・介護関係者から見た事業者の存在感も変わってきます。
さらに15拠点、20拠点へと成長すれば、
「横浜・川崎で訪問看護を行っている会社」から、「横浜・川崎を代表する訪問看護グループの一つ」へ。
そんなポジションも現実的な目標になってきます。
訪問看護の規模拡大で大切なのは地域との接点
もちろん、訪問看護では拠点数を増やすこと自体が目的ではありません。
大切なのは、必要としている利用者に必要な訪問看護を届けられる地域を広げていくことです。
一つの地域に一つのステーションをつくる。
そこから隣の地域へ。
さらに、その隣の地域へ。
地域の需要に合わせながら少しずつネットワークを広げることで、スタッフが増え、対応できる利用者が増え、病院・クリニック・ケアマネジャーなど地域の医療・介護関係者との接点も増えていきます。
それこそが、訪問看護における「規模」の本当の意味ではないでしょうか。
横浜・川崎で次の10拠点を目指して
現在のまるっとけあ訪問看護は、横浜・川崎に8つのステーション・サテライトを展開し、約80名のスタッフが働く訪問看護グループへと成長しています。
まだ横浜・川崎で最大規模の事業者ではありません。
一方で、すでに「小さな訪問看護ステーション」という段階からは変わりつつあります。
横浜と川崎に根を張り、地域ごとに拠点をつくりながら、次の10拠点を目指す。
そして、その先に15拠点、20拠点というネットワークがある。
地域の中で必要とされる訪問看護を増やしながら、その結果として会社も成長していく。
それが、まるっとけあ訪問看護が目指している地域展開の形です。